公募情報

 生命現象の特徴は、内的複雑性を秘めた柔軟な分子素子がダイナミックな離合集散を通じて秩序構造を形成し、それが自律的に時間発展していくことにある。前世紀末期に勃興したオミクスアプローチは生命体を構成する分子素子に関する情報の網羅的集積を実現した。しかしながら、それらの生命素子が自律的に柔軟かつロバストな高次秩序を形成するメカニズムを理解することは、これからの生命科学の重要な課題である。

 本領域は、化学・物理学・生物学の分野横断的な連携研究を通じて、生命分子が動的な秩序を形成して高次機能を発現する仕組みを分子科学の観点から解き明かすことを目指す。そのために、分子が自律的に集合するプロセスについて精密に探査することを可能とする実験と理論の融合研究を実施する(研究項目 A01「動的秩序の探査」)。また、生命分子科学と超分子化学のアプローチを統合することを通じて、生命分子システムの特質を具現化した動的秩序系を人工構築する(研究項目 A02「動的秩序の創生」)。さらに、生命分子の自己組織化系のデザインルールを明らかにするとともに、外的摂動に対するシステムの不安定性とロバストネスを解明することを通じて、高次機能発現に至る時空間的展開の原理を理解する(研究項目 A03「動的秩序の展開」)。

 本領域研究を推進するために、それぞれの項目について、自由な発想に基づき研究を推進する研究者を分野の枠にとらわれることなく広く公募する。特に、若手研究者の柔軟な発想に期待する。

 公募研究の採択目安件数は、単年度当たりの応募額300万円を上限とする研究を30件程度予定している。


応募にあたっては、文部科学省の当該ページ『平成28年度科学研究費助成事業‐科研費‐(新学術領域研究・特別研究促進費)の公募について』を充分ご確認ください。